みなさん、こんにちは!最近、定規セットを見ていたら、こんなことを思いました。
「セットに入っている分度器ってあまり使わないな~」
さて、今回は、中学数学で学ぶ「作図」のお話です。実はこれ、2000年以上前に考えられたルールにそって学んでいるんですよね!そのルールを作ったのが、ユークリッドというすごい数学者です。
ユークリッドさんってどんな人?
ユークリッドは、今から約2300年前のギリシャの数学者です。彼が活躍したヘレニズム時代は、学問や芸術がすごく発展しました。
例えば、ユークリッドは幾何学をまとめたし、科学者アルキメデスはさまざまな発明をしました。この時代の彫刻や建物もとてもリアルで美しいですよね。
図形のきまりの始まり
ところで、ユークリッドは、いろんな図形の決まりや性質がバラバラなことが不満でした。そこで、こう言いました。「図形のきまりを、ちゃんと整理して、本にまとめよう!」
そしてできたのが、『原論(げんろん)』という本。これは、世界で最も読まれた数学の本、つまり、世界で一番有名な数学の教科書です。

もう教科書があったんだね
どんなことをまとめたの?
それでは、ユークリッドが「原論」でまとめたことを見てみましょう。
作図に使っていい道具は、「定規」と「コンパス」だけ!
まず、ユークリッドは、作図の道具を決めました。これは、ユークリッド幾何学の基本的な考え方に基づいています。
なぜなら、定規とコンパスだけを使うことで、作図の方法がシンプルになるからです。いろいろな道具を使えば、それだけ作図も複雑になりますからね。
でも、使う道具を決めれば、誰が行っても同じ結果が得られるようになります。このルールは、数学の論理性と普遍性を保つため、最も大切なことですね。
数学的に証明できる
また、ユークリッドは論理的な証明を重視しました。このため、数学的に証明できる範囲を明確にする必要性がありました。
定規は直線を引くための道具であり、コンパスは円を描くための道具です。このようにルール化しておけば、実際、定規とコンパスだけで作図できる図形は、二次方程式を解くことで得られる範囲の数に限られます。まさに、中学数学の範囲と同じですね。
余談ですが、三次方程式やそれ以上の方程式を解く必要がある作図は、定規とコンパスだけでは不可能なんですよ。このような作図は、もっと先のこと。安心してね~😊
線の長さや角の大きさは、測るんじゃなくて「うつす」!
また、ユークリッドは、「線の長さや角の大きさを測るのではなく『うつす』」というルールを示しました。これは、数学の厳密性を保つための重要な考え方です。
なぜなら、「測るという行為」には、どうしても誤差が生じます。例えば、定規で線の長さを測るとき、目の位置や定規の精度によって微妙なズレが生じることがありますね。しかし、コンパスや作図のテクニックを使えば、長さや角度を正確にうつすことができます。
論理的な証明を重視したユークリッドは、「測定に頼ることで、数学の証明が曖昧になる可能性」をどうにかしたいと考えました。
そこで、「うつす」ことで、作図の手順を明確にし、誰が行っても同じ結果が得られるようにルール化したというわけです。
これで、「定規とコンパス」で作図する意味がわかりましたね。

使う道具にも意味があるんだね~

ところで、コンパスを日本では「ぶんまわし」といっていたそうですよ
その他のルール
また、ユークリッドは、つぎのようなことも示しました。
「点」「線」「面」など、図形の基本はとてもシンプルにする!
「三角形」や「円」の性質、証明の方法なども整理!
つまり、今、私たちが中学数学で習っている図形のルールのもとを作った人なんですよ。
たとえばこれ、全部ユークリッドがもと!
垂直二等分線の作図
さて、垂直二等分線の作図は、コンパスと定規を使って簡単にできます。以下の手順で作図してみましょう!
作図手順
1. 線分ABを描く
垂直二等分線を作図したい線分ABを定規で引く。
2. コンパスで円弧を描く
① コンパスの針をAに置き、適当な半径で円弧を描く。
② 同じ半径で、コンパスの針をBに置き、もう一つ円弧を描く。
※ 2つの円弧が交わるように、大き目に半径を調整する。
3. 交点を結ぶ
2つの円弧が交わる点を定規で結ぶ。 この直線が、「線分ABの垂直二等分線」になる。
垂直二等分線の作図のコツ
コンパスの半径は、線分ABの半分より少し大きめにすると、交点がしっかりできる。
また、円弧は全体を描かなくてもOK。つまり、交点が分かればよいので、必要な部分だけ描くと作図が簡単です。
※定規をしっかり固定して直線を引く。 → ずれないように注意!

測らないけど、ずれちゃだめだよ
問題 : 三角形の外心を求める
それでは、垂直二等分線の作図の問題をやってみましょう。
問題
三角形ABCの外心を求めるために、各辺の垂直二等分線を作図しなさい。
チェック用語:外心、垂直二等分線
解答と解説
作図
① 三角形ABCの各辺(AB、BC、CA)の垂直二等分線を作図する。
② 3本の垂直二等分線が交わる点が外心となる。
③ 外心は、三角形の3つの頂点から等距離にあるため、円を描くと三角形ABCの外接円ができる。


つまり、外心は三角形の外接円の中心であり、三角形の頂点から等距離にある特別な点なのです。面白いですよね

交点をしっかりつなごう!

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問題:分度器を使わずに、決められた角度を作図する
問題
直線AB上に点Cがある。直線ABの上側にあり、∠ECB=90°となるような半直線CEを作図しなさい。分度器を使わないこと。
チェック用語:半直線、分度器を使わない
解答と解説
この作図方法は、垂直二等分線の性質を利用しています。 点Cを中心とする円と、その交点を利用して垂線を作ることで、90°の角が作れます。 分度器を使わずに正確な垂直線を引けるので、数学の基本として重要なテクニックです。
作図手順



この方法で90°の角を作れることを確認できましたか?
このように、「定規とコンパス」で描いた垂直二等分線は、だれが描いても同じ結果になります。作図してみると理解が深まりますね。 📏✨
まとめ
最後になりますが、ユークリッドのおかげで「基本の図形は、決まった道具を使い、決められた方法で行えば、同じ結果が出る」ということがわかりましたね。
つまり、「その練習をすれば、だれでも必ずできる」ということです。
図形の問題は、作図することでよくわかるようになります。パズルを解くように、まずは、どんどんやってみてくださいね。これがきっかけとなり、「図形」や「証明」に興味をもってくれたらうれしいです。
ユークリッドは、2300年前に図形のルールをまとめた数学者!
今の中学数学(図形・作図・証明)は、その考え方を元にしている!
名前は出てこないけど、みんな知らずに「ユークリッド式の数学」を学んでいる!
では、また💛
数学に苦手意識がある人や、基礎固め・復習に取り組みたい人にオススメは、こちらです。


