【楽しく学ぶ数学の文章題】第15回:角の二等分線×相似を『つなぐ』図形問題の読み方
よくある悩み:「比?相似?どっちを使えば…」
みなさん、こんにちは!楽しく問題練習していますか?
「図が似てるから相似?」と思って式を書いたのに…合ってない😢
「比で解けるって言われたけど、何と何の比?」「結局どっち?」
さて、図形問題でこうした混乱が起きる背景のひとつに、比と相似を「別物」として理解してしまっていることがあります。
たしかに、比と相似は「別物」です。でも、「無関係」ではありません。特に、複合タイプの図形問題では、「比と相似」を「順番」に使う「流れ」があります。
複合タイプの苦手感の原因は、この「順番や流れ」かもしれません。
今回は、そんな複合タイプの図形問題を見ていきましょう。きっと、「なんだ、そうだったのか!」と思いますよ。

もっと問題練習がはかどりますよ~
4コマ漫画で「あるある」を体感!?
『結局どっちを使えばいいの!?』〜 比と相似のつながりに気づくまで 〜
さて、「比」と「相似」が同時に出てくる問題は、意外と難しいですよね。中学生にとって、「角の二等分線=比」「平行線=相似」といった知識は身についていても、これらが同時に登場する問題になると、どちらを使うのか迷ってしまうことが多いんです。


え、順番があるの?

つながり方も気になるね
大切なのは「情報をつなぐ順番」
複合タイプ問題の出題意図は、流れで図形を「読む」力を試すことです。とはいっても、実は、この「流れ」は、複合問題(1)(2)(3)の設問順と一致していることが多いです。
ですから、図を見ながら(1)(2)(3)と進み、基本知識+「前の設問の答え」の合わせ技が、自然な「流れ」でできる親切な設計の問題といえます。
複合タイプの問題例
角の二等分線で比を立てる → その比をもとに相似を確認 → 相似な図形の関係を使って式を立てる
これについては、実際に、演習例題で「順番」と「流れ」を確かめましょう!
高校入試では「図形の複合問題」で差がつく!
ところで、高校入試の「図形の複合問題」についても説明します。
例えば、公立高校入試(数学)では、やはり「図形の複合問題」が多く出題されています。イメージしやすいように言えば、大問4・5あたりは「図形の複合問題」っていう感じです。そして、大問は、問題文の情報でわかる単純な設問から始まり、その答えを利用してつぎの設問を解く形がほとんどです。
でも、「あ~もう無理!大問捨てよう」なんて思ってはだめですよ。入試では、大問(1)だけが解けた場合も部分点がもらえることが多いです。ですから、大問まるごと捨てずに取り組みましょう。
「比と相似」の複合タイプも大問のテーマに!
さて、4コマ漫画にあるように、「比と相似」の複合タイプも大問になりやすいテーマです。でも、安心してください!みなさんは、前回、前々回で、必要な基本知識はすでに学習済みです。
複数の知識を「つなげる力」が問われる
では、「比と相似」の複合タイプは、どのようになっているのでしょうか。
例えば、「角の二等分線と比」や「相似」の出題傾向を見てみましょう。つぎの表でいえば、出題傾向の1が前回の内容、2が前々回の内容にあたります。
そして、3の「比→相似→面積比 へと発展」、これが「比と相似」の複合タイプです。
出題傾向 | 説明 |
1. 角の二等分線で比を立てる | AB:AC=BD:DC の形 |
2. 平行線・補助線で相似を見抜く | DE ∥ AB → △CDE ∼ △CAB |
3. 比→相似→面積比 へと発展 | 流れの理解が正答のカギ |
公立高校入試:出題例
過去問について
ところで、受験を意識すると気になってくるのが、入試の「過去問」ですよね。
入試問題は、翌日以降に新聞に掲載されたり、都道府県のホームページにしばらくの間、公開されたりします。しかし、都道府県ホームページ掲載は、非公開のところから、数年度分を掲載するところまで様々です。
数年度分の「過去問」をじっくりと見たり、自分で解いてみたい人は、「市販の過去問」を手に入れたほうが学習しやすいです。「地域の過去問」や「全国の過去問」を数年分集めた問題集が市販されています。
ふだん使っている問題集と「過去問」を見比べてみると、つぎに何をやってみようかとアイデアが浮かびますね。
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入試の「比と相似」複合タイプ
さて、一部ですが「比と相似」の複合タイプの出題例を紹介します。
年度 | 都道府県 | 出題内容の概要 |
2021 | C | 角の二等分線と平行線を含む図形で、相似な三角形を見つけて長さを求める問題 |
2020 | H | 二等分線と補助線を使って相似を導き、面積比を求める複合問題 |
2019 | F | 角の二等分線と平行線を組み合わせた図形で、相似の証明+長さの計算問題 |
2018 | T | 二等分線と相似を組み合わせた証明+応用問題(図形の構成力が問われる) |
📌 これらは「比→相似→式(または面積比)」という流れを問う、図形の総合問題として出題されています。
【演習例題】G県風アレンジの複合問題
G県(2022年度)では、「角の二等分線と相似な三角形による証明+面積比」が出題されました。
では、この問題に似ている例題を一緒にやってみましょう。
三角形ABCにおいて、BDは∠ABCの二等分線、CD=CE、EF∥AC、
AB=6cm、BC=8cm、AC=7cm
(1) △ABD ∽ △CBE を証明せよ
(2) CEの長さを求めよ
(3) 面積比を求めよ
🧩 ポイント:「どこで比?どこで相似?どうつなげる?」を意識しよう!
自分で図をかこう
まず、問題文の条件を取りまとめるため、自分で図をかいてみましょう!全く同じにならなくても、つぎのような図がかければOKです。
また、問題に図が与えられている場合も、練習として自分で図をかいてみましょう。証明しようとする三角形どうしに色をつけたり同じ角度の部分に○印をつけたりすることで、図形のストーリーが見えてきます。

演習例題の解き方の流れ「これが、つながりだ!」
(1)∠ABCの二等分線(∠ABD=∠CBE)&対頂角(∠ADBと∠CDE)、
CD=CEから(∠CDE=∠CEB)→ AA相似(2つの角の大きさが同じ)
(2)BDは∠ABCの二等分線。角の二等分線の定理から、AB:BC=AD:DC=6:8=3:4。
問題文からCD=CE。よって、CDを求めることでCEがわかる。
CD=7(㎝)×4÷7=4(㎝)=CE
(3)相似な三角形の「面積比」は「相似比²」
(1)で証明した△ABD と △CBEの 相似関係と(2)で求めたCEの長さを利用。
AD=7(㎝)×3÷7=3(㎝)(角の二等分線の定理)
よって、△ABD と △CBEの 相似比は、「3:4」→ 面積比は、3²:4²=9:16
確認問題で理解をチェック!
さて、例題の「比→相似→式」の流れが感じられましたか?では、つぎの問題もやってみましょう。
- 角の二等分線でAB=6、AC=9のとき、BD:DCは?
- DE∥AB のとき、△CDE ∼ △CABが成り立つ理由は?
- 相似比3:5のとき、面積比は?
- 比CD:DB=3:2、CE=6のときEAは?
※問題文の条件をまとめて図をかいてみましょう。答えは、こちらをクリックしてね。
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まとめ:「どっちを使うか」で止まらない図形思考へ
最後に、複合タイプの図形問題についてまとめますね。
1. 入試では「相似だけで解ける」問題よりも、複合タイプの方が多い。
2. 「比」と「相似」を理解したうえで、それぞれを「関係をつなぐ道具」として使う。
3. 自分で図形をかいて問題練習すると、図形問題のストーリーがわかるようになる。
難しく思える複合タイプの図形問題も、問題文の条件から図がかけるようになると、図形のストーリーが見えてきます。
もし、図形問題が「苦手」「嫌い」で取り組むのが苦痛だったら、まずは、短めの問題で図をかく練習だけを始めるのも手ですよ!図がかけるようになったら、問題練習もやってみてね!
前回(14回)の練習プリントの解答解説はこちらをクリックしてください。
では、また💛


